ご遺族の方が悔いを残さないようにするというのも遺品整理の大きなポイントです。整理するだけでなく、故人が愛用していたものなどは供養をするというのも1つの選択ですね。供養には寺院で読経という方法もありますが、炎で浄化する「お焚き上げ」という方法もあります。今回はお焚き上げの方法や意義、依頼するにはといった基礎についてお伝えしていきましょう。

■お焚き上げとは

お焚き上げとは、「不用だけど、思い出や愛着があり捨てるのは忍びない物に感謝の気持ちを込め浄化し、神様に返す」という儀式を指します。お正月のしめ縄を「左義長」や「どんと焼き」で燃やして処分しますが、同じ考え方です。日本では古来より何にでも神様が宿ると考えられており、物を大切に扱ってきました。そのため、処分する際にはそのまま捨てるのではなく、感謝の気持ちを込めて炎で浄化し天へ返すという方法が生まれたのです。炎で清めるという発想は密教の護摩業(ごまぎょう)に由来するもので、悪いものを焼き切ることで浄化されると考えられています。とはいえ厳格な宗教行事という堅苦しいものではなく、神社仏閣で行われるのが一般的です。ですが、最近では環境問題やモラルの低下などもあり専門業者が代行するケースも増えています。

■お焚き上げの必要性

お焚き上げを行うことで、故人の大切なものを処分してしまったというご遺族の心理を軽くすることができます。「日常的に使用していたものや愛用品をそのままゴミに出すなんて、生きていたらどんなに悲しむだろう」と、胸が締め付けられるという方もお焚きあげなら神様の元に返すのでいく分気が楽ですね。また、中国では紙でできたお金や日用品を燃やして故人に届ける風習がありますが、お焚きあげしたものも故人の元に行ったかもしれないと考えることもできます。処分するということには変わりありませんが、大切な方をなくしたばかりで遺品整理をしていることも多いため、心理面でのケアは大切なポイントといえるでしょう。

■お焚き上げの注意点

よくお焚き上げでの供養を行うものとして、故人が大切にしていた神棚や仏壇、位牌などが挙げられます。厳密に宗教のルールに則る必要はありませんが、お寺に神棚を依頼しないなど異なる宗派のものは、それぞれのルールに従う方が賢明です。一般的なお焚き上げの品といえば、お気に入りの衣類や毎日使っていた寝具・日用雑貨なども多くみられます。また、人形やぬいぐるみは人形供養という形でお焚き上げしている場合も。気をつけたいのは、写真や日記など個人情報が詰まっているものでしょう。業者に任せる場合は信頼できるかどうかよく見極める必要がありますね。近年ではパソコンやスマホのお焚き上げを謳っている業者もありますが、事前に初期化しておくなど情報の取扱は注意することをおすすめします。パソコンといいましたが、お焚き上げは燃やすため基本的にはプラスチック製のものや金属でできたものは受け入れできません。電化製品や貴金属、茶碗などの瀬戸物など意外にお焚き上げできないものは多いため事前にチェックしておきましょう。どうしてもそのまま処分するのは忍びないという場合は、僧侶などに依頼しお経や祝詞を唱えて清めてもらうという方法もあります。ほかにも遺品の預かりサービスを行っている神社仏閣もありますが、小さなものが主流でサイズによっては受け付けてもらえないこともあるでしょう。

■依頼するには?

お焚き上げは個人で行うことはできません。そのため、お焚き上げを行っている神社仏閣に依頼するというのが一般的な方法です。ですが、近隣に行っている神社仏閣がない場合や、手配が難しい場合には業者に依頼することもできます。遺品整理業者や、お焚きあげ代行業者、神社仏閣が遠方からの依頼を受け付けている場合もみられます。料金や基準などは業者ごとに異なるため、連絡してそれぞれ確認しましょう。ですが、トラブルになるケースもみられるため、実績や運営団体などを確認し、信頼のできる業者を選ぶことが大切です。お焚き上げ証明書を発行するなど、最後まで遺族の気持ちを考慮したサービスを行っている業者がいる一方、供養もせず廃棄やリサイクル品として活用する業者も!大切な遺品の行く末を最後まで見届けるよう目を光らせておきましょう。

■まとめ

神社仏閣でも毎日お焚き上げを行っている訳ではないため、連絡もなしに遺品を郵送することはトラブルの元になります。事前に依頼し、OKをもらってからさまざまな準備を行いましょう。また、お焚き上げは炎で浄化するため、手元に戻ってくることはありません。遺品として持っておきたいものは、お経や祝詞で清めてもらうようにしましょう。