遺品整理を請け負う業者が増えており、料金やサービスなど差別化が進んでいます。業者を選ぶ際は、いくつか比較しながらというシチュエーションが多いことでしょう。選択肢が豊富なのはいいことですが、中には悪徳業者やレベルの低い業者が紛れていることも事実で、国民生活センターへの相談件数も年々増加しています。大切な方を亡くされて辛い時期に厄介な問題を抱えなくても済むよう、遺品整理を依頼するなら「遺品整理士」の資格を取得している優良業者に依頼しましょう。ここでは、遺品整理士の基本情報や、資格取得までの道のり、そのほかの遺品整理に必要な資格についてお伝えしていきます。
■遺品整理士とは
遺品整理は、不用品回収よりも難易度が高く、知識と経験が必要な作業です。しかし、開業にあたって遺品整理の知識やスキルを問われることはないため、そのレベルはピンからキリまでさまざまみられます。遺品整理業界もこの点を憂いており、一般社団法人「遺品整理士認定協会」が資格制度を設立することで差別化やプロを育成を目指し、業界の信頼度アップや健全化を進めています。
遺品整理士の具体的な活動とは、
・ご遺族へ想いを伝える
遺品の廃棄やリサイクルといった処分だけでなく、「供養」を通して故人の想いの詰まった品々を無理なくご遺族の気持ちに寄り添った整理を行います。
・正しい知識と対応
自治体ごとに異なる廃棄物の分別やリサイクルのルールなど正しい知識の元、正しい処分を行います。
・円滑な作業
処分に関する知識だけでなく、遺族や故人と向き合う心構えやポイントを押さえスムーズに作業を行う、といったものがあります。また、遺品整理の場合、一見不用品に見えるものの中に通帳や貴金属などの貴重品が隠されている場合も多いなど、ただの不用品回収とは異なる点も多くみられます。そのため、丁寧に隅々まで確認しながら作業するなど、遺品整理ならではのポイントにも注意することが大切です。
日頃の作業だけでなく、業界の健全化のためのガイドラインづくりや、悪徳業者に依頼しないための啓蒙活動を行っている遺品整理士もみられます。少し前に遺品整理業者をテーマとした「アントキノイノチ」にも遺品整理士が出演しており、映画をきっかけにその存在を知ったという方も少なくありません。現在のところ20,000人以上の遺品整理士が活躍しており、毎年新たに3000人が資格を取得しています。
■資格取得方法
資格を取得したいという場合は、遺品整理士認定協会が開催している講座を受講し、通信講座で学ぶのが一般的です。2ヶ月程度学習して課題レポートを作成し、合格ラインに達すれば認定されます。事前に必要な資格などはなく、未経験からの受講も問題ありません。合格率はおよそ65%、受講料は入会金25,000円と2年間分の会費5,000円であり比較的手の届きやすい資格といえるでしょう。講座では、遺品整理業界が置かれている環境から実務の流れやポイント、遺品整理業に必要な法律など多岐にわたる項目を学びます。
■その他の資格
・一般廃棄物収集運搬許可証
遺品の中で処分が必要な不用品の収集や運搬を行うために必要な資格です。許可は処分を行う各市町村が出していますが、廃棄物処理法によって「一般廃棄物の運搬収集が困難な市区町村でなければ許可できない」と規定されており、取得は難しく申請自体の受付もしていない市区町村もみられます。許可が下りない場合でも、一般廃棄物の許可を取得した業者に処理を委託していればOKです。業者を見極める際には許可証を取得しているか、また、取得した業者に委託をしているのかを確認することをおすすめします。
・産業廃棄物収集運搬許可証
一般廃棄物収集運搬許可証は、一般家庭から排出される廃棄物を処理するための資格でしたね。一方の、「産業廃棄物収集運搬許可証」は、企業や店舗から排出されるされる廃棄物を処理するための資格です。一般的な遺品整理の場合、この資格に着目する必要はありません。
・古物商許可証
処分だけでなく、まだ使えるものは買取を行っている業者もみられます。この場合に必要なのが「古物商許可証」です。この許可がない方が買取を行うのは違法であり、悪徳業者の可能性も高いといえるでしょう。許可を受けたものは常に許可証を携帯し、求めに応じて提示する義務があるため、まずは確認しておくと安心です。
■まとめ
遺品整理業界に優良業者はたくさん存在しますが、中にはそうでない業者もみられます。満足度の高い遺品整理を行うための目安の1つとして、資格を確認するのはとても有効です。ホームページなどで許可証を確認する、見積もり時に提示を求めるなど、依頼する前に必ず依頼することをおすすめします。